ホマレノ森研究所『山西』を具体的にどう使うのか?
・神山の木材の利用促進、啓蒙活動
・情報配信スタジオ
・山間部の空き家利用
・改修工事は大工の伝統工法の実践型教材
・不便な暮らし体験
・最小限のエネルギーでの暮らし
・山業を体験(林業、山農業など)
・レジリエンス啓蒙活動
・山、暮らし、建築、環境、地域など循環型社会の学び、セミナー
・アーティストの作品展示ギャラリー
・山のアウトドアごはんを食べたい
など、これから一年ほどは関係者で体感し、今後の方向性を模索していきたいと思います。
内部の仕上げとともに外構工事も同時に進んでいきます。外構に使われる石はハンマーを使って手で砕き、手押し車に積んでは運び、石を積んで外壁にしていく、といった通常では行わないような作業もすべて大工が行いました。
杉の皮の繊維を混ぜた手漉き和紙。
外壁がほぼ出来上がり、建物内部の建具も徐々に吊り込みしていきます。
建具の建材ももちろん、神山産・徳島産です。自社工場で社員大工によって、ひとつずつ手仕事で製造しています。
修理しながら住み繋いでいけるイエを造る知識や技術向上のため、設計、製造、施工まで一貫した内製化を図っています。
丁寧かつ正確に手刻みで加工していきます。
建物左官工事は、普段の業務では携わることのない部署も含め、誉建設の全社員で行いました。自ら体験することで素材の特性を知ったり、施工性などの大変さや新たな発見などはじめて分かります。もちろん、初めて経験するスタッフが半分以上です。まずは、金ごての道具の扱いからスタートです。
時間はかかりますが、解体の際、壁内にあった土壁の石や藁をふるいにかけ、再度、土と藁・骨材等を混ぜた材料を使い、仕上げました。
畳の下に敷かれていた板は洗って乾かし再利用。
次に「木工事」。
「木工事」とは、木材の加工を含め、組み立て、取り付けをする工事のこと。大工が中心となり、住宅の骨組みを木材で造る工事のため、重要な工事のひとつです。使用する資材は、解体から出た木材はもちろん、土・石等も再利用します。新しい資材は、必要最低限にして神山産・徳島産に厳選し、使用しています。
材料はひとつひとつ丁寧に修繕し、再利用できるものは大切に使います。
“ なんでも自社でやる、自分たちでできる ”
それが誉建設の、社員大工の強みです。
誉建設は、手仕事のできる職人たちの育成に取り組み、修理・修繕ができ、何世代にも渡って住み繋いで行けるイエづくりに取り組んでいます。
建物の用途は変わっても最初に建てた御施主さん、大工さん、みんなの想いを大切に繋いでいきます。
ほぼ解体が完了しました。
山西には梅畑や山林もあり、6月の梅の季節には、山西の麓にある梅畑に収穫に行きます。
山の斜面に等間隔で植樹された木々には、とてもきれいな梅の実が枝いっぱいに広がります。翌年も実が成るよう、枝の剪定をしながら梅を収穫し、梅干しや梅シロップなどの「梅仕事」を実際に体験しました。
梅畑での収穫体験や梅の実を使ったワークショップ、山林では山業にちなんだセミナーや体験教室など、農業や山業の様々な体験ができる場にしたいと考えています。
大工の実践型の教材として、通常では大工が行わないような、土堀、型枠組み、鉄筋組み、生コン打設など、ほとんどの工程を自分達で行いました。大工だけではなく、他部署のスタッフも作業に携っています、そうすることで、実践から生まれる新たな発見が必ずあります。また、普段交流の少ない他部署とのコミュニケーションが生まれることで、仲間を知り、より深い絆が生まれます。建物だけではなく、人としての大きな成長が経験できることが一番だと考えています。
まずはじめに、自社大工の手作業による解体からスタートしました。
できるだけ既存を再利用したいという思いがあり、状態確認しながらの作業のため、労力・時間・経験が必要です。取り外し材料も違う用途に使えないか、解体した木材を廃棄するのではなく、洗浄したり、削ってみたり、割ったりすることで、木を蘇らせます。手間はかかりますが、大工は自分が加工できたことで愛着が沸き、仕上がった時の満足感と、古き良き美しさを学ぶことができます。
誉建設の事業指針である「ホマレノ森プロジェクト」 地域で活かされ(生かされ)、必要とされる地域循環型社会形成企業を目指し、以下の4つを目的としています。
・家づくり
・人づくり
・森づくり
・暮らしの質づくり
におけるヒト、モノ、コトにおける建築やサービスを行なっています。建築をすることだけが仕事ではなくこの事業に関係することを仕事としています。ホマレノ森は、ヒト、モノ、コトを創造し育んでくれる存在をイメージし、私たちはホマレノ森を育む活動を通じてのヒトと企業の成長を望んでいます。
ホマレノ森プロジェクトを深堀り、探究するため、出会いや経験、体験ができる場所がこのホマレノ森研究所『山西』になればと思っています。これ以上環境に負荷をかけない努力、未来の子供たちに少しでも暮らしやすい地域環境をつくりたい。今まで育ててくれた環境への感謝と負荷を与えてきた反省も込めて。
誉建設の会長(社長の父)の出身地は、神山町です。
会長は父親を戦争で亡くし、母親と二人で神山の家、山、田畑を売り払いこれからの生活のため徳島市内に移ることになりました。
社長は祖母から生前「神山に帰りたい」と何度も聞かされており、いつかは自分にルーツのある神山と関わりを持ちたいと考えていたところ、この築85年の民家を紹介してもらえることになりました。
社長はすぐに一人で出向き、この美しいロケーションに心を奪われました。
実はその手放した神山の実家、養蚕農家の屋号が「山西」だったことや、神山町の西に位置することから『山西 やまにし』と名づけました。
ホマレノ森研究所『山西 やまにし』とは、暮らし方を考えて共有していく場所です。
人だけではなく、暮らしに関係する環境や森、動物、地域、社会、地球で起こることを知って、暮らしの質を高めたい。難しく考えずに「ひと手間」かけて楽しむ、そんな場所になったらいいなと思っています。